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亜人間都市『語りえぬもの』インタビュー 03

〈出演〉川口航

聞き手:朝倉憩

2017年9月23日 新宿区内稽古場

『語りえぬもの』ドキュメント、インタビューシリーズ。

インタビュー第4弾は、川口航さん。

自身でも公演を主宰するなど、旺盛に活躍する川口さん。

​演劇以外のことから、共演者についてのことなど、様々なお話をお伺いできました。

川口 航(カワグチ コウ)

1996年生まれ、千葉県出身。

出演歴に虚仮華紙×劇団森『みんなのアポテケになりたくて。』など。他多数。

「あの、水川さんのふくらはぎがめちゃくちゃ綺麗なんですよ」

──それではまず、演劇を始めたきっかけについてお伺いしたいと思います。

 

えーと、幼稚園から高三までずっとサッカーをやってて、大学入ってフットサルとか続けるかも迷ったんですけど、それも面白くないような気がしてたんですよね。最初は大学生らしく、お酒飲んだり遊んだりするサークルに入ってたんですけど、ある程度そこで、こう、なんだろう、はしゃげるようになって(笑) ウェイウェイしたところでも? まあまあ生きていけるなと。結果的に、やめてしまって、全然生きられてないんですけど。それで、ちょっと遠いところに行かないといけないなと思って。申し訳ないんですけど、サッカー部にいた身からすると、演劇部とかって遠い存在だったんですね。サッカー部とかはグラウンドでワイワイやってますけど、演劇部とかはどっかの知らない教室とかでボソボソやっているイメージがあったんですね、ホント申し訳ないですけど。演劇部だった方には怒られるかもしれないですけど(笑) でもそういうイメージがあって。上から目線な動機ですけど、遠いところ……全然知らないところに首を突っ込んでみようと思って始めた、ていうのがきっかけです。

──実際に演劇の世界に来てみてどうですか?

当たり前ですけど、全然知らない世界でした。最初に、ある劇団のワークショップに行って、体を使う系のメニュー? まあワークをやったんですよ。「僕が今からクラップするごとに言う物を身体で表現してください」っていうワークショップだったんですね。へーと思って。やるかーと思って聞いてたら、最初に「土」って言われて(笑) なんだこれって思って、あまりにも遠い世界に来たなって思って笑ってしまったんですけど(笑) そのときに違う世界だっていうのをすごく感じましたね。ま、そこには入らなかったんですけど。

──川口さんは昨年の半年間、京都へ国内留学されていたそうですが、そこでも演劇に関わっていたそうですね。

やっぱり国内留学って、改めて言われるとすごくださいですね(笑) しかも、半年間て。演劇に関わっていたというのはなんか違いますね。それだと大分偉そうな響きになっちゃうんで(笑) 京都に行ってしばらくは、お寺見たり、祭りに行ってみたり、という京都おのぼりさんみたいなことをやっていたんですよ。それで、はたと気が付いて、「友達ができないじゃないか」と。寺と神社で半年間乗り切れるほどの好奇心を持っていないぞ俺は、と。それで友達を探しに、色々とオーディション受けたり、ワークショップに参加したりしました。あとは、まあ結局暇だったので。

──京都から帰って来てからも演劇を続けているわけですが、それも「暇だから」といった漠然とした感じでしょうか。

漠然とというか……まあ僕は普通に就活して演劇は辞めるので、それまでなにかはやっておくか、という感じですね。漠然としてるな、ごめんなさい(笑) 黒木さんとかは自分でユニット作ったりして、やりたいことあんだなって感じするじゃないですか。でも僕はそういうのは別にないです。

──なんというか、とても割り切っていますね。

そうですかね。

──理由なく漠然と続けている人でも、何か意味があると思えないと、普通は怖くなってしまうものだと思います。なので「暇だったからやってる」みたいに言い切れるのはすごいなと。

あー、それで言うと確かに、サッカーやってたときに、僕は小二のときに「俺プロにはなれねーな」って気付いちゃったんですよね。でもそれでも、基本楽しく、高三までサッカー続けられたんですよ。それで、変な言い方になりますけど、漠然としてても続けていけんだなっていうのに自信が持てたんですよね。

──じゃあ将来に対する不安とかもあまりなかったりするのでしょうか?

なんか、人生相談みたいですね(笑) いや、さすがに将来は不安に思うこともありますけど……あーでもないかもしんないです。就活もまあなんとかなるだろうなって思ってるんで。もちろんわかんないですけど。

 

──そういう柔軟さには、人としての強さみたいなものを感じますが。

強いわけではないです(笑) 今回の座組の中で一番か二番目に普通な自信あります。一大学生として、普通にサークルとして、楽しんでいます。

 

──なるほど。ありがとうございます。それでは今作の話に移ろうと思います。亜人間都市の公演に関わることになったきっかけを教えていただけますか?


きっかけとかはないですね。強いて言うなら、別の公演にスタッフで入ったときに黒木さんと会って、いろいろ喋ったんですけど、そんときのことがあったんじゃないですかね。それから普通にオファーが来たんで、参加してます。

きっかけというのとは違いますけど、オファーを貰った後に飲みに行こうっていうことになって、そこでポロっと「なんで今回誘っていただけたんですか?」って聞いたら「顔が面白いから」って言ってて(笑) それがマジで言ってくれてても良いしギャグでも全然良いんですけど、まあそんなくらいでいいわって感じですね。もし顔なんだとしたら……責任持たないとなって思ってますね、顔に。ちゃんと顔で芝居できないと黒木さんの期待には応えられないなって思いますね。

──顔ですか……(笑) では次に今作がどんな作品なのかお伺いできますか?

うーん……なんかみんなとりあえず、いっぱい喋ってるなっていう……ような芝居です。でも、お芝居って全部そうか。なんだろう、やたら言葉が飛び交うけど、なんだこれ? っていう。喋ってんのか喋れてないのかっていうのが延々続くっていう。物語とかキャラクターとかじゃないですけど。

なんか題名の通りじゃないですかね(笑) ていうと陳腐ですけど。 意外と日常のお話なのかなって思いますね。自分のキャラクターもよくいそうだなって思いますね。見たことはないですけど(笑)

──これまで関わってきた作品と比べるとどう違いますか?

むちゃくちゃ私事ですけど……ギャラが出るので。外で芝居に出ると違いますけど、学生演劇だと当然出ないので。ギャラが出る分は気合入ってます。

──それは良いですね(笑) できればもう少し演出などを含めた内容についてお伺いしたいのですが、どんな風に思いますか?

えっと、それはどういうことですか?

──結構変わっているなと思うんですけど……動きに力を入れていたり、俳優の言葉を聞こうとしているし。あと、それが負担だったりとか、性に合うとかがあったら。

 

うーん……別に特殊だとかは思いませんけど。まあ何が普通なのかも分かんないですけど。 僕は役者で呼ばれたら、そこでやってることをやろうと思っていて、あまり考えないので。もちろん言われたことをやってるだけってわけじゃないですけど、そこで起こっていることに従ってやっているだけなので。何も言ってること変わらないな(笑)まあ、別にいつもと変わらないですね。

ただ、ふだん自分のやっていることを言葉にしたりとかはしないので、それはいつもと違いますかね。でも負担みたいに思うこともないし、性に合うとか合わないとかもないですね。とにかくやるだけです。言われたから、やる。

 

 ──ストイックですね。

 

ストイックですねぇ。かっこいいですよねぇ。まぁ、ギャランティが出るので……

 

──なるほど(笑) そうした稽古を通してなにか影響を受けることはありますか?

 

うーん、えー、なんだろう。んー…..特にないかなあ…..。

あー、でもいまちょっと起きているのは、稽古の最初に、朝起きてから稽古場に来るまでのことを話す、っていうメニューがあって。多少朝起きてからの視野が広がりましたね。朝起きてからの視野、ってかっこいいですね。まあ、だからそのメニューがあるからなにか面白いこと掴んでおかなきゃなっていう。共演者の水川さんがいつも面白くって、負けたくないなって思ってます(笑) それくらいの影響はあります。

……ま、正直言うとそこまで考えてるわけでもないですけどね。「あ、今トイレ行くな」って思ったりするくらいです。「今トイレ行って、次に飯食うな」って思ったりします。めんどくさいし、アホかって思いますけど(笑)

 

──ありがとうございます。それでは最後に何か一言いただけますか?

 

えっと……意気込みとかでもなんでもないですが、水川さんの……水川さんの話ばっかしてますね(笑) 好きみたいになってますけど(笑) 好きなんですけどね。 あの、水川さんのふくらはぎがめちゃくちゃ綺麗なんですよ。それは観に来る価値があるんじゃないかなって思います。すごく綺麗ですよ……ゾッとします。

 

──それは楽しみですね。

 

はい。僕も本番の水川さんのふくらはぎの仕上がりが楽しみです。

『語りえぬもの』ドキュメント、次回で最終更新となります!

亜人間都市『語りえぬもの』

2017年10月6日 - 9日 於 早稲田小劇場どらま館

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『語りえぬもの』ドキュメント
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