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亜人間都市『語りえぬもの』インタビュー 02

〈出演〉藏下右京

聞き手:朝倉憩

2017年9月23日 新宿区内稽古場

『語りえぬもの』ドキュメント、インタビューシリーズ。

インタビュー第2弾は、出演者の藏下右京さん。

中高での演劇との関わりが、現在の活動に繋がっていると答える藏下さん。

亜人間都市の稽古を通して何を思うのか、お伺いしました。

藏下 右京(クラシタ ウキョウ)

1993年生まれ、大阪府出身

東京大学入学後、演劇活動を始める。Theatre MERCURYを退団後はフリーの俳優として、駒場キャンパスを拠点としながら活動している。2017年3月にユニット「藏下右京×渕上夏帆 二人芝居」として第27回下北沢演劇祭下北ウェーブ2017に参加、『月光町月光丁目三日月番地』を上演。亜人間都市には今回初参加。

「今回は台詞がなくても舞台に立てるというか、そのくらいには身体だけでも何か伝えようとしています」

──それではまず、どういった形で演劇に関わり始めたのか、お伺いできますか?

 

大学に入る前で、中高の文化祭で3学年一緒に劇を作る、みたいな催しがあって、それに毎年参加してたんですね。劇というか、茶番劇みたいな、お遊びみたいなものなんですけど、それがなんか面白いと思って入って、中3のときに全体をまとめる役をやったんです。今でいう作・演出みたいな立ち回りですけど。それが楽しくて、そのまま高校でもやったりして。それはどういうものかというと、開会式があって、ふつうに校長先生の開会の挨拶みたいなのがあるじゃないですか、その挨拶のあとに校長が攫われるっていう(笑) そういう茶番が始まって(笑) それでデモ隊みたいなのが来て、この文化祭は中止にしますとか言い出して、そこから寸劇が始まるっていう、そういうことをやってて。高校には演劇部とかがなくて、部活はサッカーをやってたから、中学で楽しかったのをそのまま続ける形でやってただけですね。

それで大学入った時に、何しようかと思って、サッカーはもういいかなって思って、他のことやりたいと思った時に演劇サークルが沢山あったから、もうちょっとちゃんと演劇やってみるかっていう感じです。

──中高の時は作・演出だったんですね。

でもどちらかというと視点は役者だったというか。他にやるやつがいなかったからやらされてただけで、意識としては演出と出演っていう感じで、みんなの前で何かやるっていうのが楽しかったんですよね。

──そういえば藏下さんは「藏下右京 × 渕上夏帆 二人芝居」というユニットでの活動をされていますが、それはまさに演出かつ出演という形ですよね。

そうですね。そういうことです。

ただ、あのユニットの成り立ちはちょっと特殊なんですよ。もともと僕と渕上は二人とも大学のサークルで役者をやってたんですけど、サークルを引退して、その後はおのおので活動していたんですけど、いろいろと出演する中で、フリーで活動するとなると、どうしても場当たり的になってしまうというのがあって。先輩でも同じような形で活動している方がいるんですけど、毎回同じような使われ方をしていて。場当たり的だとそうなってしまうのかと思うと、ずっとそれだと少ししんどいよねという気持ちがあった。そうじゃなくて、自分たちでやる場所があるといいなと思ってて。

あとは、自分の出てきた現場が、脚本の上がりが遅いことが多くて。特にサークルでは、本番1週間前から3日前くらいに上がるのが普通だったりして、それはキツいなと。もちろん毎回できる限りのことは尽くしているけど、もっと早く脚本があがっていればもっとできることがあっただろうなと思って、だったら既成脚本でやればいいんじゃないかと思って、渕上を誘ったんですね。

ユニットでは、脚本を選ぶことから演出から全部自分たちでやっています。そういうのを自分で考えられるようになれたらいいと思って。「演出を受ける」んじゃなく。俳優が自分で考える場があまりなかったんですよね。演技のアイデアを持って行って採用される、みたいなことももちろんありましたが、主体的に関わるっていうのとは違ったり、あとサークルだったら出演者の数が多かったりしたから、そうすると粒としてはどうしても小さくなってしまう。もっと自分たち自身でやれたらいいなと思って。まあそのときはそんな深く考えてはいなかったんですが、いま考えるとそういうことなのかな。

──その流れでいうと、今回の稽古はどうでしょうか?

普通の稽古とは違いますよね。今回が初めてなので今までのことはわかりませんが、すごく自分で考えさせるてくる、というか。「こうしてくれ」みたいなのを言われなくて。それは多分、黒木くんが気を遣っているんだと思うんですけど。まずこちらが何かやって、その後にジャッジが来るという形で、僕としては楽しい。やりやすいとかやりにくいとか抜きに、楽しいですね。

──亜人間都市はそもそもご存知だったんですか?

はい。僕は去年、東京学生演劇祭に参加していたときの亜人間都市の作品を観ていて。というのも実は、僕は通し券で演劇祭の全9作品を観たんですね。その中で一個だけ変なことやってるやつがいるぞと(笑) なんとなくチェルフィッチュ的なものなのかな? と思いつつも、完全にチェルフィッチュのコピーということもなく、なんか別のことをやろうとしている、やりたそうな空気を感じて。野心というか。それは他の団体にはあまり感じなかったことで、珍しいなっていうか、面白いと思って。あとは10月の『かもめ』も見ました。そのあと12月に亜人間都市のワークショップがあったので参加して。それで5月くらいに突然メールでオファーが来て、出ることになりました。なぜ呼ばれたのかはあまり分かってませんが(笑)

──なるほど、そういった流れで出演されることになったんですね。そんな亜人間都市の『語りえぬもの』ですが、どんな作品になりそうですか?

うーん、いまは稽古の終盤ですが、まだ全貌がつかめていないというか……お客さんが入ってその前でやらないと分からないというか……他の現場では稽古場である程度ちゃんと作品を作っていたし、そこで面白いかどうかくらい分かった感じがあったんですよね。だからお客さんに対して、ある程度固まったものを見せていたというか、そういう構図があって。でも今回は、お客さんと一緒に作る、とかいうと言い過ぎかもしれませんが、お客さんの反応っていうのがかなり大事になってくる。それは今までもそうだったんですけど、それ以上に。もちろん台本があるので完全に即興ではないし、稽古場でも作るところは作っているけれど、完全には固めてしまわない。余地を残すっていう。他の作品が100作ったものを舞台でやるとしたら、今回の作品は50くらい作ってて、あとは舞台上で100にするという感じです。

だからお客さんの反応を見たいですね。それがすごく反映しそう……というか、それを反映させなきゃいけない。お客さんがどう思うかはわかりませんが、自分が何かしたことに対する反応を、生でちゃんと見てからやる、みたいなのが大事なんだろうなって。普段だったらそういうのは、間に合ってないっていう形で不安になるんですけど(笑) でも今回はそういう不安はないですね。本番が楽しみです。

──とても楽しみですね。ではもう一つお伺いしたいのですが、今作を経て藏下さんになにか影響を受けたり、変化があったりしましたか?

 

かなりありますね。僕は大学に入ってからの5年間、ほぼずっと演劇に関わり続けていたんですけど、今年2月の下北ウェーブが終わってから初めて休憩をして、今回8ヶ月ぶりに出演するっていう感じになって。その間に自分の中で考えることがあって、それに今回の稽古でのことが加わって、なんというか……身体にもっと意識がいくようになりましたね。これまでも意識がまるでなかったというわけではないんですが、もっと雰囲気から考えていたというか。例えばキャラクターが怒るシーンであれば、怒るときの身体ってどんなだろうっていう形で考えていたんですね。でも今は身体が先行してやるっていうのが如実にあります。

今までだと先にセリフを覚えて、次にイメージを作って、最後に合わせるっていう順序だったんですけど、どちらかというと先にイメージがあって、最後の言葉を合わせるっていう。これまでは台詞を覚えて、稽古して、そんな感じで、みたいな作り方だったのが、今回だと台詞を覚えたあとにもう一段階あるというか。イメージの根本的な部分を下から作っていくというか。そういう時間があるんですよね。だからイメージと言葉と身体の関係を考えるようになりました。極論を言えば、今回は台詞がなくても舞台に立てるというか(笑) そのくらいには身体だけでも何か伝えようとしています。

──まだまだ掘り下げてみたい部分はありますが、時間の都合上そろそろ終わりにしたいと思います。最後にお客さんに向けて、なにか一言いただけますか?

そうですね……あまり肩に力を入れずに来てもらえたらいいかなと思います。難しい演劇を見て、色んなこと考えるぞ、みたいなのじゃなく、なんかお酒飲みに来ましたくらいの気分で来て欲しいです。

亜人間都市『語りえぬもの』

2017年10月6日 - 9日 於 早稲田小劇場どらま館

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『語りえぬもの』ドキュメント
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