top of page
小笠原鳥類とは?

1977年岩手県生生まれ。99年に第37回現代詩手帖賞を受賞。2004年には第1詩集『素晴らしい海岸生物の観察』(思潮社)刊行し、同詩集で第15回歴程新鋭賞を受賞。その後も06年『テレビ』(思潮社「新しい詩人」シリーズ第1巻)刊行、15年『夢と幻想と出鱈目の生物学評論集』(archaeopteryx)刊行。現在、詩の雑誌「現代詩手帖」「GANY MEDE」「歴程」などに詩・散文を執筆している。

今回、上演を行う『鳥類学フィールド・ノート』は2017年に七月堂より出版された。未刊行の5編の詩と、ブログ「×小笠原鳥類」に発表した詩を折り合わせた構成となっている。

​小笠原鳥類の詩では多くの動物が現れる。それは動物を描いたものとも、動物によって何かを描いているというのとも異なる。言葉の質感を、動物を見るときのように捉え、また言葉としての動物を扱うことから「動物=言語」とも称される。

カルガモは安全で安心な生きものである。カルガモが多いと思った。カルガモがグエグエと鳴いている、グワグワと。鳴き声と同時に、クチバシが動いている。サメが海鳥を食べる映像があった、安全で安心だ。サメが水面にやって来て、大きな口を開くだろう。サメは青くて黒い透明な生きものだ……透明人間の映画があるなら、透明サメの映画がある、かも、しれない……

171119|×小笠原鳥類

近年の小笠原鳥類の詩では「​安全・安心・何の問題もない」というようなポジティブな言葉が繰り返される。繰り返されるほどに不安・不穏さを覚えてしまう。だが、明らかに不安で不穏であるように感じられてしまうようなことが、「不安・不穏である」とは直接的に書かれない、あくまで「安全・安心・何の問題もない」と表現されることは重要だ。それは高潔な祈りである。

小笠原鳥類の「動物=言語」という他者としての詩と、その祈りの歌。上演においては、これらを演劇として読み解き、舞台空間に展開する。

bottom of page